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「ハゲタカ」最終話

特に大きなどんでん返しもなく、悪い奴をみんなで力を合わせてやっつけましたというオチでした。
一昔前のドラマだったら、空港でやっぱり貴子のところに行こうと引き返す→契約を切られてボロボロになったどこかの工場の経営者に刺される→崩れ落ちる鷲津、でENDだったかも。
良くも悪くもそうならない予定調和感が、テレ朝版ハゲタカの持ち味ですね。

うろ覚えですが「もう20年も同じことを繰り返してきた」「この国は腐りきってる」の言葉は、なんだか白々しく聞こえてしまいました。うーん、あんまり共感できなかったな。
論理的に考えたら、20年やって結果が出ないことはあと何十年繰り返したとしても望む結果にはならないんじゃないかな。つまり方法が間違っていると。
「お前は悪徳経営者だ!」って言って、そいつを追い落としたところで、また誰かが同じようなことをやるんですよね。資本主義、自由経済である以上、もう絶対そうなってしまう構造になってるんじゃないかと。
じゃあ高度経済成長でどんどん発展してた時代の日本には、清廉潔白な経営者ばかりだったのかというとそんなことありませんよね。もっと今よりモラルが低くてイケイケどんどんな会社いっぱいあったでしょう。
衰退したのは別の要因があるのに、「お前が悪だ!」って言ってはモラルの低さを弾劾して排除するようなことを繰り返して、それでこの国がよくなったかというとそんなことないですよね。
日本は停滞しているように見えて、でも確実にいろいろ変わってきているんだと思います。
「悪者探しはもうやめよう」とか「批判ばかりはやめよう」みたいな言葉がもてはやされるのはそのせいだと思う。

「痛みに耐えて改革をするんだ」という言葉を信じたら、弱い奴から死んでしまった。
不正のない世界、ウソのつけない世界では、もともと優秀な人間はいいけど、あまり能力の高くない人間はどんどん生きづらくなっていっている。
「革命だー!」って言いながら壊すだけ壊して「では!」って去っていく正義のヒーローよりも、多少の不正はしつつも最後まで飯を食わせてくれるトップについていきたいですよね。私たち凡人は、鷲津や芝野みたいに優秀じゃないから。

アランや貴子がみんな味方になってくれる展開はベタだけど燃える。
最後は「会わないのかー!」と思ったけど、まあ切なくもさわやかな良いラストじゃないですかね。こういう人は「一人でも生きていける」んじゃなくて「一人じゃないと生きていけない」んだと思う。

天宮さんの会社は救ってもらえたけど、それ以外の名もなき無数の会社が契約切られて大変なことになってるんだよなあ。最悪、人が死んでるかもしれない。
悪を絶つためなら経済への打撃がなんだっていうけど、経済ダメになったら人が死にますからね。それもやむなしと考えるなら、やはり相応の覚悟が必要だと思う。
だからこそ、鷲津刺されるENDでも良かったと思うんだけど……。

まあNHK版の方が好きだけど、テレ朝っぽい勧善懲悪ドラマでした。
芝野や飯島ももうちょっとうまく動かせたら面白くなりそうだったけどなあ。
「では!」もいいけどやっぱりいちばん好きなのは「フランス製だー!」でした。

by nandemo274 | 2018-09-08 15:05 | ドラマ

感想などを書き殴っている私的なノート。基本ネタバレだらけです。


by nandemo274